第8章 誕生祝い to Sho
目の前で、小さな手をチャカチャカ動かしてるニノ。
その動きには迷いがなくて、あっという間に指輪の形が出来上がっていく。
やっぱりニノは器用だな。
比べちゃ可哀想だけど、翔くんの時とは全然違う。
あの時の苦労がウソみたいに今日は楽だ。
時々質問は飛んでくるけど、俺が居なくてもニノ1人で作れたんじゃないかと思うくらいサクサク作業が進んでいく。
それも早いから雑ってわけじゃ決してなくて。
ものすごい真剣な顔して、丁寧に丁寧に作ってる。
翔くんのことを想いながら愛情込めて作っているのが伝わってきて微笑ましい。
最初、ニノは数ヶ月前から作り始めようとしてた。
翔くんはめちゃくちゃ時間が掛かったから、その話を聞いて早めに作り始めなきゃと思ったんだろう。
でもさ、ぶっちゃけそんな時間掛からないんだよ。
俺が潤にプレゼントしたバングルだって、作業自体は1日で終わったからね。
デザイン考えたり材料買いに行ったりっていうのを入れればもうちょっと掛かってるけど。
ニノが作りたいのはごくシンプルななんの飾りもない指輪だったし。
道具も材料も事前に揃えてあったし。
ニノの器用さを考えれば、多く見ても2~3日あれば十分だろうと思って。
ちゃんと説明してニノにも納得してもらって、翔くんの誕生日が近付いてきたこのタイミングで作ることにしたんだけど。
この分なら今日中に完成しそうだな。