第8章 誕生祝い to Sho
「あのね、今度の土曜日に智の家で作業するんだけどね、翔ちゃんも来る?」
カズは指輪作りに関して何も隠さない。
何でも話してくれるし、相談してくれる。
指輪作りに必要な道具は、俺が使ったものをそのまま貸して使ってもらうことになってるし。
材料は2人で一緒に買いに行った。
智くんに相談する時も、俺の目の前で俺にも聞こえるように話してくれて。
今カズがやってた指輪のサイズの測り方は、この間2人で一緒に調べたやり方だ。
正直、これらのことを全部隠れて陰でコソコソやられていたら…と考えるだけでゾッとする。
2人の時間は確実に減るし、隠すために嘘をつくことも出てくるだろう。
完璧に隠しきってくれるならまだいいけど、少しでも違和感を感じたら不安になると思う。
こんな想像するだけで苦しくなるようなことを、俺は実際にカズにしてしまったんだ。
バレバレな嘘をつき、2人の時間を削り、不自然な態度をとって、誤解を与えてたくさん傷つけた。
めちゃくちゃ反省したつもりだったけれど、自分が逆の立場になって気づくことも多くて。
きっとカズがこのプレゼントをサプライズにしなかったのは、それだけあの時傷ついて苦しかったからで。
俺に同じ思いをさせないためで。
再び猛省するのと同時に、カズの深い愛情を感じて。
カズが愛しくて愛しくて堪らなくなる。