第7章 誕生祝い to Masaki
-Mside-
「カズ、疲れた?大丈夫?」
「うん……」
「ニノ、次はペンギン見に行く?」
「うん……」
雅紀たちと別れてから、ニノはちょっと心ここに在らずな感じで。
翔と智があれやこれやと話し掛けても、なんだかソワソワしてて落ち着かない。
理由は分かってる。
雅紀のことが気になってるんだ。
「そんな心配しなくたって大丈夫だって」
「別に雅紀なんて心配じゃないし!」
俺も声を掛けてみたら食い気味に言い返されて、ついクスッと笑ってしまう。
語るに落ちるってやつだ。
「誰も雅紀とは言ってないけど?」
「…っ!!潤くんのイジワル!」
笑われたニノは拗ねて口を尖らせた。
どうやら雅紀は今日風間に告白するつもりらしい。
ニノが本人に直接確認したそうだ。
今日は朝からいつもと様子が違った雅紀。
風間のことを意識しまくりで。
その上ニノの作戦でみんなでさんざん煽ったら、雅紀は分かりやすく葛藤してて。
きっと、俺たちみたいに風間とイチャイチャしたかったんだろうな。
ニノの狙い通りすぎて、さすがとしか言えない。
風間は雅紀のことずっと好きだった。
雅紀も風間のことを特別に思ってた。
それがどんな意味の感情かは本人も分かってなさそうだったけど、やっと自覚したんだろう。
激ニブな雅紀が一体いつ何があってそれが恋愛感情だと気付いたのか聞いてみたいもんだ。
まぁ何はともあれ、雅紀が告白して風間が断るわけないんだから。
心配なんてする必要なし!
ニノの作戦は大成功!
晴れてカップル誕生で、めでたしめでたしだ。
なのに、ニノはなんだか複雑な顔をしている。
嬉しいけど喜びきれない…みたいな。
もしかしたら大好きな兄弟を取られてしまうような、寂しさみたいな気持ちもあるのかな。
恋愛感情はなくても雅紀はニノの特別だから。
ま、本人は絶対認めないだろうけど。