第7章 誕生祝い to Masaki
「それにしてもなんで急に気付いたの?昨日なんか特別なことあったっけ?」
すっかり冷たくなってしまったパニーニを再びかじりながら、風ぽんが首を傾げる。
でもそれは俺にもうまく答えられない。
直感というか、ヒラメキというか…
言葉にできる理由なんてないんだもん。
「自分でもよく分かんないんだよね。なんか急に分かったんだよ」
「えー?じゃあ、なんで告白がこのタイミング?」
それも説明は難しい。
確かに全くもって良いとは言えないタイミングだったと思う。
でも仕方ない。俺にとっては今だったんだから。
「言いたくなったから!」
「何それ?…でもすごく相葉ちゃんぽい」
くすくす笑う風ぽんが可愛い。
何が俺らしいのか分かんないけど。
若干ディスられてる気がしなくもないけど。
風ぽんがそれで納得したならいっか。
パニーニの最後のひとかけらを口に放り込みながら、ぱっと立ち上がる。
「さ、移動しよ!次は何乗る?」
聞きながら、風ぽんに手を差し出してみたら
「切替え早っ!もう、せっかちなんだから…」
風ぽんは呆れたように笑いながらも、残りのパニーニを急いで口に詰め込んで。
恥ずかしそうに俺の手を掴んでくれた。
その手をぐいっと引っ張って、そのまま歩き出す。
やっと手を繋げたことが嬉しくて。
無意識に鼻歌なんか歌っちゃったりしてて。
風ぽんに指摘されて笑われたけど、言われるまでもなく浮かれてる自覚はある。
だって今すげー幸せだもん。
想いが通じ合ったばっかだよ?
浮かれて当たり前だよね?
風ぽんの手をギュッと握りながら、胸いっぱいの幸せを噛みしめた。