第7章 誕生祝い to Masaki
「プレゼントだってば!はい!」
「え?あ、ありがとう…?」
必死な形相で押し付けてくるから反射的に受け取っちゃったけど、果たしてこれはありがとうなのか?
疑問は残るけど、俺が受け取ったらニノは明らかにホッとした様子で笑顔を浮かべて。
「こっちもらうね」
当然みたいに俺の持ってた釣竿を奪っていった。
「もう、しょうがないなぁ…」
仕方ないからニノが釣り上げたアジを針から外して、新しい餌をつけてたら
「やだー!また釣れた!はい!雅紀!」
あっという間に次のアジがやってきた。
「おい、ニノ…」
「やだやだ!雅紀!早く受け取って!」
嫌なら釣るなって文句を言おうとしたけど。
「雅紀~…」
「あー、もう!」
うるうると泣きそうな目で竿を差し出してくるから、餌をつけたばかりの竿と再び交換してやるはめに…
俺はこの目に弱いんだよ、くそぅ!
でもその後も…
「あっ、また釣れた!」
「やだ!まただ!」
「えっ!うそ!また!」
立て続けにニノの竿に魚がかかって。
その度に俺に竿を渡してくるから、俺はすっかりアジ外し係だ…
ものすごいハイペースで、片手じゃ追いつかないくらいの回数、釣竿を交換して。
いい加減ガマンの限界がきた。
「だーーーっ!そろそろ俺にも釣らせろ!」
俺だって釣りを楽しみにしてたんだっつーの!
思わず叫んだら、何故かみんなに爆笑された。
どうやらずっと見られてたらしい。
「はぁー、コントみたいだな」
「雅紀、面白すぎるから」
ツボにハマったのか智なんて目に涙まで溜めてヒーヒー言ってる。
ふと見ればニノもクスクス笑ってて。
ようやく揶揄われてたんだって気付いた。