第7章 誕生祝い to Masaki
-Oside-
今朝、駅に向かう途中でニノと翔くんにばったり会った。
「おはよ、智」
「おはよ、ニノ、翔くん」
「おはよう」
なんで翔くんが一緒かなんて聞くまでもない。
今日もニノが幸せそうに笑ってる。
それだけで俺も幸せな気持ちになる。
仲良しカップルを眺めながらほのぼのとした気分でいたら
「ねぇねぇ、智」
急にニノが翔くんと繋いでない方の手で俺の袖を引っ張った。
「なに?」
「うん…あのね…」
ニノはキョロキョロ周りを見回して何かを確認してから、ぐいっと顔を寄せてきて。
「今日はラブラブを見せつけてその気にさせちゃおう作戦決行だよ!」
「は?」
耳元で内緒話みたいにコソッと囁かれたけど、全くもって意味不明なんだけど…
まぁ、いつものことっちゃいつものことか。
確か去年の雅紀の誕生日も急に突拍子もないこと言い出したんだよな~なんて懐かしく思い出して。
ああ、今年もまた雅紀のために何かやろうとしてるんだな…って、ようやく思い至った。
それが分かったところで、意味不明なことに変わりはないけど。
「その作戦は雅紀のためなんだよね?」
「…うん」
一応確認すると、ニノはちょっと照れたような顔で、でもしっかり頷いた。
ニノが雅紀のために考えたことなら間違いはないだろう。
なんだかんだ言ってニノは雅紀のことが大好きだから。
「俺は具体的に何をすればいいの?」
「………っ!!」
俺がすんなり引き受けたことが嬉しかったのか、ニノの瞳がぱあっと輝いた。
可愛いなぁ、もう。