第7章 誕生祝い to Masaki
真っ先に目に飛び込んできたのは、人目をはばからずイチャつく見慣れたバカップル。
その隣にニコニコしてる智と、苦笑いの雅紀がいて。
いつも通りの光景にため息がこぼれた。
でもいつもなら呆れて吐くため息だけど、今日は安堵の気持ちの方が大きいかもしれない。
バカップル見て安心するってのもおかしな話だけど。
「おはよ、潤」
「おはよ」
車内に足を踏み入れると、すぐに智が気付いて、近づいてきてくれて。
可愛らしく笑うと、ピタッと俺に寄り添った。
な、なんか…近くね?
翔たちとは違って、智が俺にくっついてくれることなんてまだごくごく稀で。
めったにない智の行動に何だかドギマギしてしまう。
…嫌なわけでは決してないけど!
動揺を隠すように雅紀に顔を向ける。
「雅紀、1日遅れだけど誕生日おめでとう」
「ありがとう」
お祝いを伝えたら雅紀はにっこり笑ったけど、心なしか寂しそうに見えるのは気のせいだろうか。
去年のことがあるから、雅紀もちょっと期待してたのかな…なんて思うけど。
だからって、今年も智が雅紀にベタベタしたらそれは困るから、その話題には触れられない。
「あいつらは今日も相変わらずだな」
とりあえず当たり障りのない話題を…と翔たちを見たらゲンナリした。
隙間がないくらいぴったりくっついて、顔を寄せ合ってなにか喋ってはクスクス笑って。
相変わらずどころか、周りが見えていないのはいつも以上かもしれない。
まだ俺が来たことにも気づいてないんじゃねーか?