第6章 誕生祝い to Satoshi
こんな思いつきのサプライズでここまで喜んでもらえて。
嬉しいけど、申し訳なさも込み上げてくる。
「ごめんな。色々考えたんだけどさ、今日はサプライズ的なものは何もないんだ」
俺の誕生日に智はサプライズをしてくれて。
それにかなり感動した俺は、智にも何かサプライズ返しをしようって思ってた。
でも、いざ具体的に考え始めたら、なかなか難しいことに気付いちゃったんだよな…
まず、プレゼントから考え始めたんだけど。
手作りのバングルに見合うプレゼントは何だろうかって悩んで悩んで。
最初に浮かんだのは、指輪。
めちゃくちゃ喜ぶニノを見てるから、智にもあんな顔させたいなって思った。
でも俺的に指輪はこのタイミングじゃない。
いつか贈りたいとは思ってる。
でもそれは今じゃなくて。
人生の中のもっと重要なタイミングで渡したいんだ。
だから今回はなし。
次に浮かんだのは、同じ手作りのバングル。
でも指輪作りであれだけ苦戦する翔を見ていたから、不器用さでは翔とどっこいの俺が1人で作れるとはとても思えなくて。
智に習いながら頑張れば作れるかもしれないけど、その時点でサプライズではなくなるし。
じゃあ既製品を買えばいいのかと言えばそれもちょっとちがう気がする。
智が既製品のアクセサリーを喜ぶ姿がうまく想像出来ない。
そりゃ、本当にプレゼントしたら喜んでくれるとは思うんだけど。
なんかしっくりこないんだよ。