第6章 誕生祝い to Satoshi
俺の思いはちゃんと伝わったようで、その後も智はマイペースにゆっくりゆっくり作品を見て回った。
俺を気にせず自分の世界に没頭してくれるのが、俺を信頼してくれてるみたいで嬉しくて。
我に返った時に隣に俺がいることを確認しては安心したように笑ってくれるのも嬉しくて。
智の隣で俺も作品をじっくり見ながら、ずっと幸せな気持ちに包まれていた。
かなり長い時間を掛けて全ての作品を見て。
智が満足した様子だったので、調べておいたカフェに移動した。
智の好きなチョコレートケーキが美味しいと評判のお店だ。
ケーキは昨日も食ったけど。
智は甘い物が好きだし、お祝いだから何度食ったっていいだろ。
注文直後にタイミングよく智がトイレに立ったから、店員さんにダメ元でお願いしてみたら、智の分だけバースデープレートにしてもらえて。
運ばれてきた皿を見た瞬間、目を丸くして驚く智に、してやったりの気分になった。
店員さんにも“おめでとうございます”と声を掛けられて、照れたようにはにかむ顔が可愛かった。
「びっくりした!こんなサプライズ用意してくれてたの?」
「いや。今、思いついて頼んでみた」
「え!?それでやってもらえるものなの?」
「やってもらえたね」
「イケメンパワーかな?」
「なんだそれ?」
「イケメンは得だねって話だよ」
ケラケラ笑ってるけど、プレートを見る目が嬉しそうで。
喜んでもらえて俺も嬉しい。