第6章 誕生祝い to Satoshi
みんなで騒いだ翌日は、智と2人きりで美術館にやってきた。
2人で美術館とか、いかにもデートって感じでちょっと照れくさい。
まぁでも、美術館はみんなで来るのは難しいからな…あいつらが揃うとうるせーし。
それにもちろんデートが嫌な訳ではない。
むしろかなり嬉しい。
今日見るのは現代美術展。
俺も美術館は結構好きだから、デート云々を抜きにしても、単純に楽しみだ。
館内に足を踏み入れるなり智は目をキラキラと輝かせて。
すぐに自分の世界に入ってしまったけど、その間俺も作品をゆっくり見ればいいだけだし。
集中してる智の横顔はとても綺麗で。
じっくり眺めても智は気付かないから見放題だ。
作品も智の横顔もじっくり堪能して。
俺なりに有意義な時間を過ごしながら智が戻ってくるのを待っていたら、急に我に返った智が申し訳なさそうな顔をした。
「ごめん…俺またどっか行っちゃってたね…」
「気にすんな。時間制限なんてないんだから、智の気が済むまでゆっくり見たらいいよ」
本当にそんなこと気にしないでいい。
今日は智の誕生日祝いなんだし、智が楽しいのが一番だ。
「でも…潤つまらなくない?」
「全然!俺も楽しんでるよ!」
シュンとして俯いてしまったから、顔を上げてほしくて頭をそっと撫でる。
「ほんと?」
「本当」
「ほんとのほんと?」
「本当だって!だから智も俺のことはあんま気にしないで楽しめよ!な?」
上目遣いで何度も確認してくるのが可愛い。
本心だと伝わるように智の目をまっすぐ見つめていたら、智の視線が泳いで頬がポっとピンクに染まった。
そんな反応されるとこっちまで照れてしまうけど。
それでも見つめ続けていたら
「ありがと」
智も目を合わせてほにゃっと笑ってくれた。