第6章 誕生祝い to Satoshi
雅紀は2人の返事にも満足したようで、再び笑顔を浮かべた。
うん、やっぱ雅紀は笑顔の方がいいわ。
安心する。
「ニノは水族館1ヶ月後になっちゃうけど、楽しみに待っててね!」
「うん………ってゆーか、自分から誕生日祝えとか図々しくない!?」
ニノは一度素直に頷いたくせに、ハッとしたように急に悪態をつき始めた。
でも雅紀は全く動じない。
むしろちょっと嬉しそうだ。
「えー?だって祝ってくれるつもりだったでしょ?」
「どうかなー?」
「なんだよ!祝えよー!」
何事もなかったかのようないつものやり取り。
ニノはもうケラケラ楽しそうに笑ってる。
いや、雅紀マジですげーな!
色んな意味で強え!
笑顔の戻ったニノとは対照的に、翔と智はしょんぼりしていた。
ニノにキレられたことが…いや、そこまで追い詰めていたことがショックだったんだろう。
「翔ちゃん!智!」
ニノは2人のそんな様子に気付くと、両手をめいっぱい広げて、まるでタックルするかのように2人に飛びついた。
「わっ!ニノ?」
「カ、カズ…?」
よろけつつもしっかりニノを受け止めた2人は、ニノの突然の行動に戸惑っていたけど。
そんなのお構いなしに、ニノは2人まとめてぎゅうっと抱き締めた。
「2人が心配してくれてるの、ちゃんとわかってるからね」
そう…ニノはちゃんと分かってる。
分かってるから、ここまで我慢してたんだ。
「ありがとう…2人ともだいすき!」
「カズ…」
「ニノ…」
にっこり笑うニノに、翔も智も感極まったように目を潤ませた。
泣き笑いみたいな2人の顔を見てたらもう大丈夫だって思えた。
翔はほんの少し不満も滲んでたけど。
それは智も大好きだと言われたことへのヤキモチだろうから、放っておこう。