第6章 誕生祝い to Satoshi
「ねぇ、ニノ。この水族館は来月!俺の誕生日に行こ!」
「え?」
雅紀はニコニコしたまま急に話を変えた。
ニノは話の飛びっぷりについていけなかったのか、一瞬キョトンとしてたけど。
「ニノはさ、智の誕生日を祝いたいんでしょ?智が心配で楽しめないって言うんじゃ、わざわざ行く意味なくない?」
「……………」
「俺は楽しそうだなって思うし、絶対楽しむよ!だからここは俺の誕生日用に取っといてよ」
「………うん」
押し付けがましくない軽い口調で話す雅紀に、ニノは少し考えてたみたいだけど、やがてこくりと頷いた。
おお!珍しく雅紀に対して素直だ。
雅紀はニノの反応に満足そうに頷くと、今度は翔と智に向き直った。
「で!智と翔くんは、そろそろニノを解放してあげて。今みたいに爆発してくれればまだいいけど、ニノはすぐ溜め込んじゃうんだから…このままじゃストレスに押し潰されちゃうかもしれないよ?それでもいいの?」
「いいわけない!」
「そんなのダメだよ!」
雅紀に真顔で迫られた2人は、想像がついたのかサーっと青ざめた。
どうでもいいけど、いつもニコニコしてる雅紀が急に真剣な顔するとちょっと怖いな。
顔の良さが際立って妙な迫力がある。
「でしょ?だからあと1ヶ月時間あげるから、その間に気持ちを切り替えてね!」
「……はい」
「……わかった」
雅紀に圧倒されたのか翔も智も素直に頷いた。
まぁ、ニノが大切だからこそ心配してんだもんな。
ニノを追い詰めることなんか望んでないんだから、これで半ば強制的にでも状況を改善出来るなら良かったと思う。