第6章 誕生祝い to Satoshi
「いつまでガマンすればいいの?もう何ともないのに!」
「カズ…」
「ニノ…」
「もういっぱいガマンしたもん!もうやだ!」
涙目で怒りをぶちまけるニノに、翔も智も言葉を失った。
俺も何をどう言えばいいのか迷ってしまって口を挟めない。
重苦しい空気が流れる中、沈黙を破ったのは雅紀だった。
「そうだよね。ニノたくさんガマンしてたよね」
「雅紀…」
「でも智の誕生日だからめいっぱいお祝いしたいんだよね」
「………」
きっと雅紀の言う通りなんだろう。
ニノは黙り込んだけど、その目からは今にも涙がこぼれ落ちそうだ。
そんな泣きそうなニノの頭を優しくぽんぽんと叩く雅紀は、弟を心配する兄ちゃんみたいに見えた。
「2人が心配する気持ちは分かるよ。でもさ、心配しすぎ。ニノはそんなに弱くないよ」
雅紀は呆れたような視線を翔と智に向けると、あっけらかんと言い切った。
これは幼なじみの雅紀だから言えるんだろうなと思う。
言葉に重みがあるし、なんかストンと入ってきた。
それでも翔たちは簡単に納得できないって顔をしていたけど。
「このままじゃ怪我の前にストレスで爆発しちゃうよ。あ、今すでに爆発したけど」
雅紀は可笑しそうにくふふっと笑った。
雅紀が笑ったら、重かった空気が少し軽くなった気がした。