第6章 誕生祝い to Satoshi
智はしばらくキャッキャしてるニノを見ていたけど。
「えーと…ニノ、あのね?」
口喧嘩がひと息ついたタイミングで遠慮がちに声を掛けた。
「なにー?乗りたいの決まった?」
「ううん…えっとね、そこもすごく楽しそうなんだけどね?今回は違うところにしない?」
「え?なんで?水族館やだ?」
まさか智が否定するなんて思ってなかったんだろう。
ニノが目を丸くした。
「やじゃないよ!やじゃないんだけどさ…ちょっと遠いから、もっと近場がいいんじゃないかなって思って…」
「えぇー…」
「そうだね!俺もそう思う!」
智の提案にニノは不満そうに口を尖らせたけど、翔はすぐに同意した。
「ね!敷地が広いから移動も多くなっちゃいそうだし」
「アトラクションもさ、まだやめておいた方がいいんじゃないかな」
「あんまり動かないでいい場所にしようよ」
怪我騒動から心配性が悪化してる翔と智は、過保護続行中だ。
でも智が断る理由が怪我のせいだと気付いたニノは一気に険しい顔になった。
2人は新しい場所を考えようとわいわい盛り上がってるけど、それに反比例するかのようにどんどんニノの機嫌が悪くなっていく。
気付け!翔!智!
ニノの眉間にめっちゃシワ寄ってるぞ!
「ねぇ、ニノ…」
「やだ!!」
「カズ…」
「やだったらやだ!!」
すっかりご機嫌ななめになったニノはそっぽを向いてしまった。