第6章 誕生祝い to Satoshi
「智の好きな釣りもできるし、アトラクションもあるよ♡何乗るー?」
ニノの中ではもうここに行くことがほぼ決まってるみたいで、ウキウキとHPを見ているけど。
いつもならニノの希望優先ですぐOKを出す智が、珍しく複雑な顔をして黙り込んでいる。
「いいねいいね!楽しそうじゃん!」
「でしょー!」
雅紀はノリノリで食いついてたけど、ふと首を傾げた。
「でも珍しいね。ニノが調べたの?」
確かにこういうのはいつも翔の仕事で。
ニノが行きたがって自ら調べるなんてかなり珍しい。
「ううん、調べてない」
でもニノはフルフルと首を横に振るとあっさり否定した。
「どこかいいとこないかなーって言ったら、菊池が調べてくれた」
急に出てきた菊池の名前に翔の頬がピクリと引き攣る。
確執が消えた菊池は、今までの態度が嘘のようにすっかりニノに懐いたらしくて。
ニノも懐かれれば嬉しいのか可愛がってるみたいだ。
それが翔は気に入らないんだよな。
元々菊池のこと警戒してたしね。
でもなぁ…
どんなに仲良くなったとしても、翔がダメだったから次はニノに…とは菊池も絶対ならないだろうよ。
翔の場合、そこに恋愛感情があろうがなかろうが、ニノに自分以外の野郎が近付くだけでも嫌なんだろうけど。
「後輩に甘えるなよ」
「頼んだわけじゃないもん。勝手にオススメしてきたんだもん」
「無言の圧力かけてたんじゃないのー?」
「そんなことしないし!」
ニノと雅紀が楽しそうにいつもの口喧嘩をしている陰で、翔はずっとむすっとしていた。
苦笑してしまうけど、ニノは気付かなかったみたいだから。
仕方ない、俺も見なかったフリをしてやるか。