第6章 誕生祝い to Satoshi
-Mside-
ニノの怪我は順調に治って1週間ほどで抜糸できた。
俺の予想通り、菊池との確執も今回の騒動で解消できたようで。
色んな意味で元気になったニノは、また屈託なく笑うようになった。
本当に良かったと思う。
ニノの怪我騒動の後は学校中が安全にものすごく気をつけるようになって、文化祭は何事もなく大盛況に終わった。
その後の体育祭も、翔がニノを全競技に出したくないと騒いだ以外は特に大きな問題もなく無事に終わって。
気付けば智の誕生日がもう目前に迫ってきている。
そんなある日、大きなイベントが終わって生徒会の忙しさもひと段落したニノがご機嫌な様子で切り出した。
「ねぇ、智。今年はどこに行きたい?」
確認するまでもなく智の誕生日祝いの話だろう。
「うーん、そうだねぇ…」
「あのね、去年水族館楽しかったでしょ?それでね、俺今年はここがいいんじゃないかと思ってるんだけど…」
「うん?」
「ここ!楽しそうじゃない?」
自分から聞いといて、智の答えを待つ気はないらしい。
ニノがニコニコしながら見せたのは、ちょっと遠いけど有名な水族館。
「水族館が4つもあってね!イルカショーもあるし、イルカに触ったりご飯あげたり出来るんだよ♡」
どうやら今年はイルカに会いたいらしい。
とてもわかりやすい。
いざ触るとなったらまたギャーギャー怖がりそうだけどな。
簡単に想像がついて少し笑ってしまった。