第5章 恋敵
そうそう!
良いこともあったんだよ。
なんと、菊池との関係が良好になったんだ。
放課後になるなり、翔ちゃんは俺を早く休ませたいから生徒会は休むと堂々と宣言したんだけど。
いやいやいや!何言ってんの?
ただでさえ忙しい時期で仕事が山積みなのに、昨日は俺のせいでほとんど何も出来なかったんだよ。
昨日は不可抗力で仕方なかったにしても、何ともない今日もサボるなんて絶対ダメでしょ!
どんだけ他のみんなの負担を増やす気なの?
1万歩くらい譲って俺が休むとしても、翔ちゃんまでサボっちゃダメだよ。
でも俺1人で帰るなんて翔ちゃんが許してくれるはずないし。
だからやっぱり2人で生徒会に行こうっていう至極真っ当な訴えにも、絶賛俺の言うこと聞いてくれない期の翔ちゃんは首を縦に振ってくれなかったから。
このままじゃ埒が明かないと思って、最終的には泣き落としで説き伏せて。
足早…になると翔ちゃんが怒るから、のんびりと生徒会室に向かった。
生徒会室に入るなり、翔ちゃんは待ち構えてた上田と増田にとっつかまった。
ほらー!
やっぱり翔ちゃんじゃなきゃダメな仕事が溜まってたじゃん!
嘘泣きまでして連れてきて大正解だよ。
翔ちゃんは山のように積まれた書類を見て、これじゃ早く帰れないとか盛大に文句を言ってるけど。
翔ちゃんが本気出せば、あんなのちょちょいのちょいなの知ってるんだから。
でも子どもみたいにごねる姿が可愛くて。
クスクス笑って見てたら、強い強い視線を感じた。
もう毎度お馴染みのこの視線。
見なくても誰かわかるやつ。