第5章 恋敵
翌日は、ちょっと…色々大変だった。
翔ちゃんや智たち門班メンバーは昨日あの場にいたから分かるんだけど。
なぜか雅紀も風間もクラスメイトたちも…っていうか、ほぼ学校中のみんなが俺のケガのことを知ってて。
会う人会う人に心配される。
タッキーとか斗真なんかは、クラスが違うのにわざわざ教室まで来てくれたし。
教室から1歩でも外に出れば、知らない人にもバンバン声を掛けられる。
みんな本当に心配してくれてるっぽいから有難いっちゃ有難いけど、それが1人や2人じゃないから全然落ち着かなくて疲れてしまう。
一番うるさかったのは上田で。
休み時間にバタバタと教室に駆け込んできて。
「ひ……二宮先輩…!!」
どうでもいいけど、今、姫って言いかけたよね?
ジロっと睨んだら慌てて言い直したけど。
上田は俺の頭のガーゼを見るなりガックリ落ち込んでしまった。
「あああ…俺がお傍にいれば、ひ…二宮先輩にこんな怪我させたりしなかったのに…」
「う、上田…?」
その激しい落ち込みっぷりに若干引いちゃってたけど
「門班の連中、しめておきますから!」
「ちょっ…」
拳を握りしめて、そのまま教室から飛び出して行こうとするから、慌てて引き止めて。
「ダメダメダメ!ちゃんと誠心誠意謝ってくれたから!そんなことしたら絶対ダメだからね!」
「でも…姫にケガさせた責任を…」
「姫じゃねーし!」
わーわー大騒ぎして、最後は翔ちゃんの力で何とか上田を納得させたけど。
無駄に疲れたってば…