第5章 恋敵
「俺はね、守ってもらうばっかじゃなくて、俺も翔ちゃんを助けたいし支えたいんだ…俺じゃ頼りないかもだけど、でも、そうやってお互い助け合いながらずっと一緒にいたい」
一方的に守られるだけのお姫さまじゃイヤなんだ。
翔ちゃんにおんぶにだっこじゃなくて。
ちゃんと自分の足で、翔ちゃんの隣に並んで立っていたい。
翔ちゃんがピンチの時は俺が助けたいんだよ。
「カズ…」
でも俺の言葉を聞いた翔ちゃんは何だか複雑な顔をした。
その表情を見て不安になる。
「翔ちゃんはやだ?俺に守られるなんて…」
もしかしたら男のプライド的に、俺みたいなのに守られるなんて許せないのかな?
それとも、単純にこんな考え重い?
それともそれとも、それ以前の問題で。
ずっと一緒にいたいと思ってるのが俺だけだったらどうしよう…
「嫌なわけないよ!その気持ちはすごく嬉しい!でも…」
次々押し寄せる不安はすぐに否定してもらえたけど、でもって言いながら翔ちゃんがクシャッと顔を歪めた。
「翔ちゃん…?」
「俺のせいでカズが怪我するのは嫌だ…さっき血を流すカズを見た瞬間、心臓が止まるかと思った…」
思い出したのか、翔ちゃんはまた真っ青になって震え出す。
その目には涙が浮かんでて…
俺がケガしちゃったことが、俺が思ってた以上に翔ちゃんにショックを与えちゃってたんだって、やっと分かった。