第5章 恋敵
-Nside-
病院についたら先生が受付のあれこれをやってくれて、すぐに翔ちゃんとは別々に診察室に呼ばれた。
簡単な診察のあと、CTを撮られて。
最後にホッチキスみたいなのでバチンバチンと傷を止められて。
頭にホッチキスだなんてさ。
ただでさえ恐怖しかないのに。
麻酔とかなしで、いきなりバチン×3回。
かなりの衝撃だったよね…
想像してたよりはマシだったけど、やっぱり痛くて、涙目になっちゃったのは仕方ないと思う。
ここに翔ちゃんがいなくてほんとに良かった。
ただでさえ自分を責めて落ち込んでるのに、うっかり涙なんて見せちゃったら、ますます翔ちゃんが落ち込んじゃう。
俺が勝手にしたことだから、翔ちゃんは何にも気にしなくていいのに…
そりゃ、頭も体もあちこち痛いよ。
手にベッタリと血がついてるのを見た時はビビったし。
でも、先生にちゃんと診てもらって脳も骨も異常はなかった。
背中には打撲で出来たアザがいくつかあるみたいだけど。
運が良かったのか、単に俺が頑丈なのか。
どっちか分かんないけど、これくらいで済んで良かったよ。
本当はさ…こんなケガなんてしないで、もっとスマートに翔ちゃんを助けられたら良かったんだけど。
俺がちょっと大袈裟に見えるケガしちゃったせいで、翔ちゃんは落ち込んじゃうし、智は泣いちゃうし、みんなに心配掛けちゃって。
本当に申し訳ない。
そんでもって、めちゃくちゃカッコ悪い。
でもこれが俺に出来る精一杯だったんだよ…
カッコ悪くても、全力は尽くした。
それで翔ちゃんにケガがなかったなら、良しと思わなきゃ。