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キミのとなりで ずっと【気象系BL】

第5章 恋敵



「俺は大丈夫だから…」
「俺だって大丈夫だもん」

なかなかニノが引かないもんだから、智がハラハラしちゃってて。

「ニノ、ここは翔に甘えとけ」

つい口を挟んでしまった。

「潤くんまで…」
「翔だけじゃなくて智まで心配で胃に穴があきそうな顔してるからさ」

それを聞いて智を見たニノは、あっと口に手を当てると困ったように眉を下げた。

智はせっかく泣き止んだのに、また泣きそうに目を潤ませている。

「ニノ…」
「智…そんな顔しないで?俺ならほんとに大丈夫だから…」

ニノは困ったように笑うと、智の手をぎゅっと握った。

「びっくりさせてごめんね」
「ううん…でも病院でちゃんと診てもらってきてね?」
「うん、心配してくれてありがと」
「荷物も翔くんに持ってもらってね?」
「………うん」

智がうるうるの目でお願いしたら、ニノは諦めたように頷いた。

「おーい!行くぞー!」
「はーい」

正門前まで車をまわしてくれた先生に呼ばれて。

「じゃあ、行ってきまーす!」
「いってらっしゃい」
「翔ちゃん、行こ」

ニノは最後は笑顔で手を振って、翔の手を引いて車に乗り込んだ。


「ニノ、すげーな…」

遠ざかって行く車を見送りながら、つい呟いてしまう。

あんな怪我して痛くないわけがない。
…ってか絶対痛いだろ。

頭の傷だけじゃない。

あれだけの木材の下敷きになったんだ。
体中痛いんじゃないかと思う。

それでもニノは大丈夫だって笑ってた。

それはきっとこれ以上みんなに心配掛けないためで。

少しでも翔が責任を感じないようにするためで。

いつだって自分より人のことを考えてるニノらしい優しさだ。

優しくて強い。

少し離れた場所では、菊池が何とも言えない顔で翔たちの乗った車を見送っていて。

その表情を見て、ニノと菊池の確執ももしかしたらこれがきっかけで解消するんじゃないかって思った。

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