第5章 恋敵
キョロキョロ辺りを見回したら、すみっこの方で智と潤くんが喋ってるのをすぐ見つけられた。
2人ともまだ俺たちが来たことに気付いてなさそうだ。
どうせならびっくりさせちゃおうと、そーっと智たちの背後に回り込んで。
「さーとーしっ♡」
「わっ!!えっ?ニノ!?」
えいっと智の背中に飛びついたら、智はめちゃくちゃ驚いた顔で振り向いた。
隣の潤くんも目を丸くしてる。
うん、満足!
「びっくりした~…どうしたの?見に来たの?」
「うん、生徒会の立ち会い」
「そっかぁ」
俺だって分かったら、あっという間に智はいつも通り。
ふんわり優しい笑顔を浮かべてくれる。
「ねぇ、あの大きい箱はなに?」
「去年の土台が綺麗な状態で残ってたから、それを再利用するんだよ。もう一度組み直して、そこに新しい木材を付け足していく感じかな」
「エコだね」
「そうそう」
智に引っ付いたままお喋りしてたら、強い視線を感じた。
まぁ、そんなの誰かなんて見なくても分かるけど。
一応確認してみたら、やっぱり視線の主は菊池だった。
菊池は忠犬みたいに翔ちゃんの半歩後ろに控えてて。
智にくっつく俺をすごい目で睨んでた。
きっと俺が翔ちゃん以外と仲良くしてるのも気に入らないんだろうね。
でもそんなの知らない。
智との関係を菊池なんかにとやかく言われる筋合いはないもんね!
ツーンとそっぽを向いてやる。
智は特別だもん!
俺の癒しなんだから!