第5章 恋敵
「アニキ、門班が土台を組み始めるの今日からですけど…初日は立ち会うって言ってませんでしたっけ?」
生徒会室で黙々と仕事をしていたら、上田が翔ちゃんに声を掛けるのが聞こえてきた。
そうそう。
今日から組み立て始めるんだって智も言ってた。
智たちもずっと忙しそうにしてるけど、組み立てって聞くといよいよな感じがするよね。
「あ、今日だったか!行く行く!」
忙し過ぎる翔ちゃんは忘れてたみたいで、時計を見ると慌てて手にしてた書類を机に放り投げた。
バサッと広がった書類たちを上田がササッと片付ける。
出来た後輩だなぁ…
翔ちゃんは上田にお礼を言いながら立ち上がった。
「カズー!行くよー!」
「はぁい」
こういう時、当たり前に俺を連れて行ってくれるのが嬉しい。
「俺も行きますっ!」
急いで手元の書類を片付けてたら、菊池がすごい勢いで手を挙げた。
たぶん俺たちを2人きりにしたくないんだろうな。
でも、その想いは翔ちゃんには伝わらない。
「菊池も?そんなに門作りに興味あんの?まぁ、いいけど…」
少しズレた答えを返しながら首を傾げてる。
菊池も一緒かぁ…ってちょっと気が重くなるけど。
翔ちゃんがいいって言っちゃったから仕方ない。
はぁ…
仕方ないとは思うけど、ため息を吐きたくなっちゃうのは許してほしい。