第5章 恋敵
そんなこと言われたら泣いちゃうよ…
智が苦手なことに挑戦するのが俺のためだなんてさ。
智の言う通り、智が門を作ったからって俺の仕事が減るわけじゃないけど…
その気持ちだけで十分すぎるくらい嬉しい。
ものすごい力になるよ。
「ありがと、智…すっごくすっごく嬉しい」
潤んじゃった目を隠すみたいにぎゅうって智にしがみついたら、智は背中をぽんぽんってしてくれた。
智の手からも優しさが流れ込んでくるみたい。
「智、大好き…」
「ふふ、俺も大好きだよ」
好きって伝えれば笑いながら俺もって言ってくれて。
胸がポカポカあったかくなる。
智はもう一度優しくぽんぽんってしてくれてから
「でも翔くんがヤキモチで死にそうな顔してるから、これくらいにしておこっか」
クスクス笑いながら、そっと俺を離した。
振り向いてみたら、確かに翔ちゃんは何とも言えない顔をしてて。
潤くんと雅紀と風間は、そんな翔ちゃんと俺たちを面白そうに見比べてる。
そのいつも通りの光景に、何だかまた胸があったかくなった。
ちなみに、潤くんはいつの間にかシレッと美術部に入部してて。
当然、門作りにも参加するみたい。
“ 智1人をどんなやつがいるか分からない中に放り込むなんて出来るわけないだろ! ”って言って智に付き合うことを決めた潤くんは心配性だなって思うけど。
でも潤くんが一緒なら安心だよね。