第5章 恋敵
絶対やだってごねたら、上田はしばらく考え込んでたけど。
「………じゃあ姫!姫はどうですか?」
パッと顔を上げると、さも良いことを思いついたと言わんばかりに目を輝かせた。
「なにそれっ!!?もっとやなんだけど!!!」
“どうですか?”…じゃないよ!!
バカなんじゃないの!?
「王子のお相手なので」
でも悦に入った表情を浮かべる上田には、もう何を言っても聞いてもらえない気がするから。
「翔ちゃん!上田が変なあだ名つけようとするー!何か言ってやって!」
黙って面白そうに見ていた翔ちゃんを巻き込むことにした。
上田は翔ちゃんの言うことなら絶対聞くもん。
翔ちゃんの袖を引っ張って一生懸命訴えたら
「上田、あんまりカズをいじめないで?」
翔ちゃんは笑いながらも一応上田をたしなめてくれた。
「すいません!」
上田も翔ちゃんに言われたらすぐに謝る。
翔ちゃんには絶対服従だ。
「でもいじめてなんかないですよ!ただ、二宮さんを姫とお呼びしたいだけで…」
…と、思いきや。
翔ちゃんに注意されても上田が引き下がらない。
なんで!?
そんなこだわることじゃないでしょ!?
「確かに姫だなんてカズにぴったりだけどさ」
そして翔ちゃんまでにっこり笑って同意し始めて。
「ちょっと!翔ちゃんまでなに言ってるの!?」
「気に入らない?」
「気に入るわけないでしょ!!」
「なんで?」
もうやだ!
翔ちゃんまでいろいろ通じなくなってる!
なんでかなんて、聞かなくても分かるでしょ!
俺は男だからです!!