第5章 恋敵
-Nside-
生徒会室に行くのはちょっと気合いがいる。
菊池との戦いはまだまだ続いていて。
だってあいつ全然引いてくれないんだもん。
それなら俺だって引くわけにはいかない。
でも色々考えちゃうと、どうしても気が重くなるんだよ…
ついため息を吐きそうになるけど、一緒に幸せが逃げていきそうな気がするからガマンする。
「カズ、行こっか」
「うん♡」
どんなに気が乗らなくても翔ちゃんに笑顔で手を差し出されたら、その手を取らないって選択肢はないし。
翔ちゃんと長く一緒に居られるのは幸せなんだ。
「忙しくなってきたけど疲れてない?最近ちょっと元気ないよね」
生徒会室まで手を繋いで歩いてたら、翔ちゃんが心配そうに顔を覗き込んできた。
翔ちゃんに心配掛けたくないのに…
顔に出ちゃってるのかな…
もっと気をつけないとダメだ…
「そんなことないよ!だいじょぶ!」
にっこり笑顔を作って、意識して明るい声を出す。
「俺なんかより翔ちゃんのが大変でしょ?」
これ以上追求されないようにさりげなく話を逸らしてみたら
「俺は全然!こんなに可愛い恋人がずっとそばに居てくれてるんだもん。今の俺は百人力だよ」
キラッキラの王子さまスマイルを向けられて溶けちゃうかと思った。
胸がキュンキュンする。
大好きって気持ちが溢れて止まらない。
うん、そうだよね。
俺だって翔ちゃんが居てくれれば百人力だもん。
繋いだ手にぎゅっと力を込める。
このあったかい大好きな手を、菊池のせいで離すなんて絶対しないんだから!
負けるもんか!!