第2章 誕生祝い to Nino
夕飯はお使いのご褒美にって、姉ちゃんがハンバーグを作ってくれたけど。
大好きなハンバーグが全然喉を通らなくて。
絶対美味しいはずなのに、味もよく分からなかった。
姉ちゃんには申し訳ないけど、全部は食べ切れなくて。
心配してくれる姉ちゃんに謝ってごちそうさまをすると、早々に自分の部屋に引きこもった。
ベッドに転がって目を閉じると、さっき見た2人の姿が浮かんでくる。
途端に不安や悲しさ、疑いの気持ちなんかが沸き上がってきて、また涙が出そうになるけど…
でも、いったん落ち着こう。
ちょっと前に勘違いと思い込みで暴走して大失敗してるんだから。
また同じことを繰り返すわけにはいかない。
ちょっと冷静にならなくちゃ。
ベッドから起き上がって、机の上に置いてある小瓶を手に取った。
翔ちゃんにもらったこんぺいとう。
もうなくなりそうだったのを、ホワイトデーにお願いしてまたもらったんだ。
これは俺の宝もの。
元気になれる魔法の薬。
小さな星を一粒口に入れたら、その甘さで少し気持ちが落ち着いた気がした。
これをくれた時、翔ちゃんはこんぺいとうより先に自分を頼ってほしいって言ってくれた。
こんぺいとうにも負けたくないんだって…
でも食べ物と勝負するってどういうことなの?
「ふふっ…」
真面目に考えてみたらなんだかおかしくて。
笑ったらちょっと気持ちが軽くなった。