第2章 誕生祝い to Nino
仲良く並んで歩く2人の姿に、心臓がぎゅっと掴まれたみたいになる。
きっと偶然だって。
だって智もここが地元なんだから。
たまたま会っただけだよって。
そう思うのに、俺の足は動かない。
今すぐ2人のところへ行って、何してるの?って。
どうして2人が一緒にいるの?って聞けばいいのに。
それだけのことが出来ない。
翔ちゃんも智も、ここで1人立ち尽くす俺に気付くことはなくて。
人波の間に消えていく2人の背中を見つめながら、俺の気持ちはどんどん落ち込んでいく。
なんで…?
翔ちゃん、今日もおうちの用事があるって言ってたじゃん。
だから俺と会えないって。
用事っていうのはやっぱりウソだったの?
制服じゃないから学校に行ってたわけでもないでしょ?
なんでここにいるの?
本当に何か用事があったんだとしても、ここまで来たのに俺に連絡してくれないのはどうして?
俺のうち、すぐそこだよ?
翔ちゃんは俺に会いたくないの?
俺はほんのちょっとでも翔ちゃんに会いたかったのに…
偶然でも翔ちゃんに会えてすごくすごく嬉しかったのに…
なんで翔ちゃんは今、俺じゃなくて智といるの?
2人の姿が完全に見えなくなったら急に涙がこみ上げてきて、俺も足早にその場を離れた。
泣かないように必死に唇を噛み締めて。
重さが増した気がする荷物を抱えながら、早く家に帰ることだけを考えて歩いた。