第5章 恋敵
-Mside-
「生徒会はどうよ?」
キャッキャとじゃれてる智とニノを微笑ましく眺めながら、何気なく翔に尋ねてみた。
「んー…まぁ、忙しいけど予想してた範囲内だな」
翔はニノから視線を外さないまま答える。
生徒会に入ってから、引き継ぎやら文化祭準備やらでずっとバタバタしてるように見えるけど。
まぁ、経験のある翔にはなんてことないんだろう。
むしろ忙しい方がイキイキしてるくらいだ。
でも俺が心配してるのは翔じゃなくてニノだ。
「ニノはどうなの?」
「仕事覚えるのがめちゃくちゃ早くてさ。既にかなりの戦力になってる」
ニノのことを話す翔の表情は柔らかい。
「カズが近くにいてくれるだけで俺のモチベーションが全然違うけど。それ抜きにしても、カズのおかげでかなり仕事の効率が良くなってるよ」
にこやかにニノを褒める様子はいつも通りで、不安や心配は一切感じてないみたいだ。
「他のメンバーとは上手くやれてるのか?」
実はこっそりカメ経由で上田たちから生徒会の情報を色々聞いていて。
ニノが菊池とバチバチしてるらしいってのは知ってるんだけど。
一番気になってるのは、それを肝心の翔は把握してんのかってこと。
我ながら心配性というか、過保護だなと思うけど。
俺以上に智がニノのことを心配してるから。
智の笑顔を曇らせる原因を出来たら取り除いてやりたいんだよ。