第5章 恋敵
「嫌な思いさせてすみません」
ちょっと途方に暮れてたら、増田と上田が申し訳なさそうに謝ってくれた。
「2人のせいじゃないじゃん」
「でもきっとこうなるって分かってたんです…」
「分かってて、それでも黙ってたので…」
分かってたのかよ!
じろっと睨むと2人は小さくなった。
「本当にすみません…」
八つ当たりしたって仕方ないけど、でも睨むくらいしたって許されるはずだ。
しつこく睨んでたら、2人してペコペコ謝った後に
「あいつも悪いやつじゃないんです」
「ただ片想いが長すぎてちょっとこじらせちゃってて…」
今度は菊池のフォローを始めた。
「でもあいつ見てるだけで告白とか何も行動してないんですよね」
「アピールはしてたけどな」
「全く気付いてもらえてなかったやつな」
ああ…なんとなく想像つく…
翔ちゃんちょっと鈍いところあるからね…
「自分は告白する勇気もないくせに、二宮先輩を恨むなんてお門違いもいいとこですよ」
「いい気はしないと思いますけど…すみません。あいつが何言っても気にしないでください」
「お2人を近くで見てたらあいつも諦めがつくと思うんです」
「俺たちもできる限りのフォローはしますから」
2人にわーっと言い募られて、なんとなく頷いちゃったけど。
さっきの菊池の態度を思い返すと、そんなに簡単に諦めるとは思えないんだけど。