第5章 恋敵
問題なのは、恋敵の存在。
裏庭にいなかった生徒会1年の最後の1人、菊池風磨。
あの時、翔ちゃんの質問に対して上田は「あいつは俺たちとはちょっと違う」って言ってた。
増田もなんだか歯切れが悪かった。
俺には何の話だかさっぱり分からなかったから、黙って聞いてたけど…
今なら分かる。
増田と上田と、菊池の何が違うのか。
翔ちゃんへの態度を見て。
俺に向ける視線の冷たさを感じて。
すぐに気付いた。
菊池は翔ちゃんのこと好きなんだって。
尊敬や憧れだけじゃない、恋愛感情としての好意だって。
最初は申し訳ない気持ちになった。
片想いの辛さは俺も知ってるから。
しかも菊池は、好きな人と恋人が一緒にいるのを毎日のように近くで見なきゃいけないんだ。
そんなの考えただけでしんどい。
俺なら耐えられないよ。
でも今さら生徒会やめますとは言えないから、せめて生徒会ではイチャイチャするのはやめようって。
なるべく菊池に嫌な思いさせないように気をつけようって思ってたんだよ。
これから一緒に頑張っていく仲間だから。
できたら仲良くしたいじゃん。
でも菊池は、そんなこと全く思ってなかった。
まぁ、当たり前かもしれないけど。