第5章 恋敵
翔ちゃんは “カズが人前に出ることは会長権限で最小限に抑えるから…” なんて、選挙前から宣言して。
どうしても避けて通れなかった選挙演説は、やる気ないだろって思われそうなくらい短く添削された。
別に長く喋りたかったわけじゃないけど…あの演説じゃ、他に候補者がいたら確実に落選してたと思うよ。
ちなみに翔ちゃんも最初から当選確実だったけど。
壇上に上がった翔ちゃんは、それはそれは立派な演説をして。
堂々と熱弁を振るう姿は、それはそれはかっこよかった。
翔ちゃんは俺の心配ばっかりするけどさ!
俺だって心配なんだからね!
ただでさえ翔ちゃんは人気者なのに…
これ以上ライバル増やさないでよ…
今、俺が疲れてる原因がまさにこれで。
一言で言うなら、恋敵出現!!
生徒会の仕事自体はね、智に言った通りまだそんな大変じゃないんだ。
3年の先輩たちが引き継ぎしながら、付きっきりで助けてくれてて。
岡田先輩もほかの先輩たちもみんなすごく優しいし。
俺を引きずり込んだ責任を感じてるのか、増田と上田も色々フォローしてくれる。
もうすぐ文化祭があるから、もうちょっとしたらもっと忙しくなるかもだけど。
それは覚悟してたし、仕事には文句はないんだよ。