第4章 生徒会
-Nside-
「それでね、その時雅紀がね…」
「……うん」
朝の教室。
大切な2人きりの時間。
なのに翔ちゃんはいつの間にか心ここに在らずになっていて。
俺の話を全然聞いてないし。
顔は俺に向けてるけど、視線はぼんやりしてて俺のこと見てない。
心のこもってない適当な相槌に、楽しかった気持ちが一気に萎んでいく。
きっと今、翔ちゃんの頭の中は生徒会のことでいっぱいなんだと思う。
最近の翔ちゃんはずっとこんな感じだ。
……胸がちくちくする。
本当は24時間365日いつだって俺のことで頭をいっぱいにしててほしい。
でもそんなの無理だって分かってるから…
せめて一緒にいる時は俺のことだけ見てほしいし、俺のことだけ考えてほしい。
そう思っちゃうのはワガママかな…
でもやなんだもん。
俺じゃない何かが翔ちゃんの心を占めてるの…
しかも毎日やってくる生徒会長がめちゃくちゃ男前でさ。
俺はよく知らないけど、性格もめちゃくちゃ良いんだって。
それだけでもちょっとソワソワしちゃうのに。
翔ちゃん自身から、中学の時は会長にすごくお世話になってたって聞いて。
親密そうに話す様子から仲が良いのも伝わってくる。
そこにただの先輩後輩以上の感情はないとは思うよ?翔ちゃんのこと信じてるよ?
でもさ、毎日毎日やってくる生徒会長の熱心さを見てるとさ…
本当に勧誘のためだけ?
本当に他意はないの?
…なんて、モヤモヤしてしまう。