第4章 生徒会
「翔はニノのせいだなんて欠片も思ってないだろ。翔にとっては生徒会よりニノの方が大切だってだけだ」
今度は意識して優しい声を出す。
「そんな理由で別れるなんて言ったら翔くんが可哀想だよ…翔くんは本当にニノのことが大好きで大切なんだから…」
雅紀もなんとかニノの気持ちを変えようと必死だ。
「翔くんじゃなくてニノの気持ちは?」
そんな中、智がニノの目をまっすぐ見つめて静かに問いかけた。
「ニノは翔くんと別れていいの?」
言葉に詰まったニノの目にみるみる涙が溜まっていく。
このまま泣くんじゃないかと内心焦るけど、智が無言でニノの答えを待ってるから。
俺も余計なことは言わずに黙っていたら。
「……いいわけない…俺だって翔ちゃんのこと大好きだもん…」
泣かないようにギュッと唇を噛み締めたニノが、小さな小さな声で呟いた。
ニノの答えを聞いた智はにっこり笑うと、ニノを優しく抱きしめた。
「それなら別れる必要なんてないでしょ?お互いに大好きなんだから、そんな簡単に別れを考えちゃダメだよ」
ポンポンとあやすように背中を叩くその姿は慈愛に満ち溢れていて、まるで母親みたいだ。
智の腕の中でニノがコクリと頷く。
「ニノが責任を感じる必要なんてないんだよ。翔が自分の意思で決めたことなんだから」
その頭をわしゃわしゃ撫でてやったら、ニノはもう一度コクリと頷いた。
とりあえず分かってくれたみたいで安心する。
でもこの件が完全に落ち着くまでは油断しないでいようと密かに決意した。