第2章 買い忘れは無き様に。
「あ、なんだいたんだ。借りてた図鑑返すよ?」
シャワーから出ると分厚い本を何冊も抱えたエリナがいた。
「ああ」
ゴシゴシとタオルで頭を擦りながら適当に返事をしてソファへ座る。
やはり女は感が冴える。
「ちょっと、良い匂いするよローくん何使ったの」
本棚へしまう手元を止め真顔で問いただすエリナ。
「シャンプー切らしてたから借りた、お前の」
「えー⁉ちょっとあれ限定品なんだから!」
「うっせぇ知るか、文句があるなら忘れたベポに言え」
「ベポぉ?…じゃあ私が買うわよ」
確かにベポよりエリナに頼んだ方が安心かもしれない。
「じゃあ任せた」
「うん、いいよ、…ってちょい待てぇ!」
「ああ?」
更にそばへやってきてローの首元へ顔を近づけるエリナ。
「なんだ、積極的じゃねぇか」
ニヤ、と笑うローに対しエリナは吹き出した。
「ぶははは!やだボディソープも使ったの⁉」
腹を抱えて至極に楽しそうに笑上げるエリナが不愉快でローは気分が悪くなった。
「悪いか、ねぇもんはしょうがねぇだろ」
ギロと睨みつけるが彼女は相変わらず大口を開けて大爆笑している。
何がそんなに可笑しいんだ。