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〖 刀剣乱舞 〗 ~ 風に吹かれて~

第4章 懐かしい味と、優しい味


自分なりに急ぎ足ではあったけど、そもそもの体格や足の長さが大きく違う太郎太刀さんは既に廊下に姿は見当たらなく、でも、引き寄せられるままにひとつの部屋の前へと足を止めた。

間違っていなければ・・・ここは太郎太刀さんと次郎太刀さんのお部屋、だよね。

間違えていなければと言うより、誰か中にいるのは障子が閉まっている事から決定的であるとは思う。

この本丸のルールとして、誰も部屋に居なくなる時は障子を開けておくという決まりがある事を長谷部さんからも聞いているし。

それは刀剣男士のみのルールで、私の部屋、つまり審神者の部屋は情報漏洩防止のために常時閉めておくということだから。

きっとこの部屋の中には太郎太刀さんはいる。

でも、なんて声を掛けたらいいんだろうか。

部隊編成に入れた事を怒ってますか?じゃ、なんだか変な聞き方だし。

1度決めた部隊編成から外した事を怒ってますか?と言うのも、違う気がする。

どうしたものかと戸惑っていると、障子の向こう側で人影が動く気配を感じて、いつまでもここに立ち竦んでいる訳にもいかないと小さな勇気を振り絞った。

『あの、太郎太刀さん。ちょっとだけ、よろしいですか?』

細々と声を掛けると中から衣擦れの音が届き、少しの間を置いて障子が開けられた。

太「主・・・どうかされましたか?」

『あ、えっと・・・その』

柔らかく対応されるも、どことなくその表情に驚きを隠せないでいる太郎太刀さんを見て次の言葉が上手く出て来ない。

太「次郎が散らかしたままでお恥ずかしい限りですが」

そんな私の様子を汲み取ったのか、太郎太刀さんは障子を更に開けて中へと招いてくれる。

『お邪魔します・・・と言うか、太郎太刀さんが言うほど散らかってはいないですよ?』

散らかっていると言われながらも中に入るも、文机の上に書物が開いたまま置いてあるだけで他に何もない事を見て言えば、太郎太刀さんは日頃から整理整頓する様に言ってはいるのですがとため息を吐きながらも、どうぞ?と座布団を用意される。

太「それより、私に用事があったのでは?」

手際よくお茶まで用意され、改まって向かい合わせに座られると緊張してしまう。

普段ならその位置には資料を片手に眉を寄せる長谷部さんや、当番で近侍となった方々が座っているから。










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