第4章 懐かしい味と、優しい味
あれから長谷部さんと部隊編成の事で話し合い、アドバイスを貰いながら今回の政府からの任務とやらに出立するメンバーをまとめた。
こんのすけが部屋を出てからも地図を見て眉を寄せる長谷部さんに、この場所はそれほどまでに大変な場所なんですかと聞くと、長谷部さんは私に話していいものだろうかと躊躇いながらも、その場所が先に聞いた女性の審神者が太郎太刀さんを含めた部隊を送り出した場所なのだと教えてくれた。
その時の戦いで部隊は苦戦を強いられ、負傷者も出し危険な状態に陥った際に、残された力を振り絞ってその人が戦場に降り立ち自分が守るべき刀剣男士達のために、その審神者としての力を注ぎ勝利へと導いた。
それが元なのかは分からないけど、それを最後に審神者の力は急速に衰えてしまい、それからは聞いた話の通り気鬱になって寝込むようになって、最期の時を迎えてしまったと。
そんな話を聞いてしまうと、今回の人選には慎重にならないといけないですねと細々と零せば、長谷部さんはそれでも最善を尽くせる部隊を作り歴史の流れを変えようとする悪しきもの達を討伐するのが自分たちに与えられた使命だと言って、いま最良だと思える刀剣男士を一緒に選び抜いてくれた。
その中には大太刀として、太郎太刀さんも含まれていた。
本当は他の大太刀でもいいのではないか、石切丸さんや次郎太刀さん、それから小柄ではあるけれど能力は高いと長谷部さんが言っていた蛍丸さんだっていると意見しては見たものの、隊のバランスを考えればここは太郎太刀が良いだろうと言う長谷部さんを考慮して太郎太刀さんを部隊に組み込んだ。
そして今、私は長谷部さんに付き添われて広間にいる訳だけども。
長「皆もこんのすけより先に説明があったと思うが、これより主から今回の時間遡行軍討伐へと向かう隊のメンバーを発表する。まず行き先は・・・」
長谷部さんが慣れた感じで行き先を告げると、それまで静かに聞いていたみんながざわざわと淀めき立つ。
きっとみんなは、今回の行き先の過去の記憶が浮かび上がり、どんな編成になるのだろうかと思っているのだろう。
長「静かに!」
なかなか収まることのないざわめきを長谷部さんが一喝すると、すぐにまた静かな空間が戻る。
長「では主、隊編成の発表をお願い致します」
『えっ、私が?』
