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〖 刀剣乱舞 〗 ~ 風に吹かれて~

第3章 最初のお仕事


とりあえずで縛り付けたはずの腕は、今もまだジワジワとその場所を赤く染めている。

ホンットに痛いよ!

自分の腕から視線を戻し、目の前に切れ味のいい切っ先をチラチラとさせながら言えば、声も出ない状態で顔を横に振る。

『いい判断だと思います。これからは女子供だと思って甘く見ない方がいいですよ?ではお約束通り、他の審神者さんたちから奪った刀剣男士は各本丸へと返し、皆さんに頭を下げて下さい。もし約束を破るような事があったら、その時は・・・嘘もつけないお口になって頂きますよ?』

峰に返した切っ先でスーッと唇をなぞれば、震え上がったみっともない姿を見せられる。

ま、これでこの人も今後悪巧みをしようだなんて思わないでしょ。

最後にまた地面に刀を突き刺して、それじゃ私はこれでと背中を向けみんなの方へと歩き出す。

『はぁ・・・疲れた。あ~・・・そうだった』

う~ん・・・と歩きながら背伸びをして、腕の不自由さに息を吐く。

キツく結び過ぎたかなぁ・・・実際、手の感覚が微妙だし、どうせ消毒やらで外すんだから解いても大して変わらないよね?

斬られた腕から流れた血を吸い更にキツくなっている結び目をなんとか解いた途端、予想以上な痛みが襲う。

ヤバい・・・なんかこれ、通り魔に刺された時と同じくらい痛いよ?!

さっきは多分、痛いは痛くても、そこまで痛さに気が回ってなかったから平気っぽかったのかも!

止血として縛ってたのを急に外したから、反動でダラダラと血が流れ出す。

これはホントにヤバい気がして来た。

腕を押さえ座り込み、痛みに気を取られた瞬間・・・

「 主っ!! 」

大きく長谷部さんの声が聞こえて顔を上げれば、キンッと鳴り響く金属音と、私の影に重なるもうひとつの・・・人影。

長「貴様・・・我が主にこれ以上卑怯な真似をするのであれば例え審神者であろうと、俺は・・・斬る」

その言葉に振り返れば、さっきの人が振り下ろそうとしている刀を長谷部さんが受け応え顔を強ばらせていた。

一「主はこちらへ」

いつの間にか来たのか一期一振さんは長谷部さんたちから目を離す事なく私の隣に片膝を着き、まるで庇うように片腕のみでその胸の中に私を閉じ込めながらも、自身の備え持つ物にもう片方の手を当てる。

『あの、この状況は?今の一瞬で何が起きたんですか?』

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