第1章 明日って必ず来るものじゃなかった
「一応、政府の者からは···まぁ、ご納得されないようであればではごさいますが、事実を見せても良いと言われております。どうされますか?」
事実···私が、死んだ人間だっていう···事実···?
『お願いします!だって私が死んだとか納得出来ない!もしそうだとしたら、ここにいる私はなんなの?!』
「分かりました。それでは現世の状況をお見せ致します···こちらへ···」
さっきと同じように辺りが眩しい光に包まれて、一瞬、視界を奪われる。
直後、フワリとした浮遊感を感じて目を開けると···そこは···
『おじいちゃん···』
棺の中に横たわる私を見つめ続けるおじいちゃんと。
その隣で泣き続ける、あの日の友達がいて。
お母さんも。
お父さんも。
みんなみんな···目を真っ赤にして私をずっと見てる。
「なんで和奏が···和奏、和奏ー!起きなさい!目を開けて!···お願いだから···」
お母さん···私は、ここにいるのに···
「私がもっと早くニュースに気が付いていたら、こんな事にはならなかったのに···ゴメンね和奏···」
あの時、私が展示会に誘ったのに···そんなに泣かないでよ···
「和奏。ワシより早く逝ってしまうとは···こんな事なら、もっともっと···褒めてやれば良かった」
浮かぶ涙をグッと堪えながら、おじいちゃんが私の頭を撫でる。
『おじいちゃん···』
そうか···これは私のお葬式なんだ···
自分の為の葬儀の様子を見るのって変だけど。
でも···でもさ···!!
みんなちゃんとよく見て?!
私は···
私はここにいるのに!!
まるで駆け寄るようにみんなの元へと近寄って、思い切り腕を伸ばす。
『···!!!』
でもその腕は、なんの抵抗もなく···おじいちゃんの体を通り抜けてしまった。
あぁ···そうか···やっぱりそうなんだ···
私···本当に···
みんなには見えていない私の姿。
みんなには届かない、私の···声。
私···こんのすけが言う通り、本当に···