第2章 新しい生き方
ちょっとした騒ぎの後、この微妙な空気をどうしたものかと考えていると、そこは素早く長谷部さんがとりなしてくれて飲めや歌えやと賑やかになる。
私もまた自分の席に腰を下ろしてはそれを眺めて、用意された食事を少しずつ食べては、その美味しさに頬を緩ませていた。
けど?!
「せっかくアンタのお披露目なんだから、ちょっとくらい付き合いなさいよ」
ドカッと大きな瓶を目の前に置いた派手な・・・綺麗な人が私の顔を覗き込んでニコリと笑う。
「アタシは次郎太刀。ちなみにあっちにいるのが兄貴の太郎太刀よ」
どこだろ?なんて思うヒマもなく、目の前にドーンと置かれた酒瓶に目を丸くする。
次「今日はめでたい日って長谷部も言ってたでしょ?さぁ、飲んだ飲んだ!」
えっ?!
私は一応、まだお酒なんて飲める年では・・・ないんだけど?!
あ、でも既に1回死んじゃってるから、ある意味セーフなのかな?!
って、こういうのって誰に聞けばいいんだろ?!
長谷部さんにって訳にも行かないだろうし。
こんのすけ・・・はいないし?!
何か言おうとしても言葉が続かず口をパクパクとさせている私に差し出されたのは、杯に並々と注がれた透き通った液体・・・
漂う香りからして、お酒そのものだった。
次「・・・アタシの酒が飲めないって言うのかい?」
『そ、そうじゃなくて・・・えっと、どう説明したらいいんでしょうか・・・』
次「今日は正月が来たくらいめでたい日なの!だから早く飲みなさいって」
お正月・・・なるほど。
お屠蘇だと思えば、それならギリギリセーフ、かな?
『じゃあ、少しだけなら』
自分自身に変な説得をして、せっかくだからとそれを受け取りグイッと一気に飲み干した。
次「いい飲みっぷりじゃないか!ほら、もう一杯!」
飲み干したばかりの杯にまたも並々と注がれ、仕方なしにまたそれを飲み干す。
初めて口にする独特の味と、喉を通った後の熱くなる感じに驚いて、もう大丈夫ですからとやんわり杯を逆さにして膳に置いたところで、他の場所から次郎太刀さんを呼ぶ声に彼はまた酒瓶を抱えて移動していく。
た、助かった・・・
あのまま飲み続けていたら、ギリギリセーフどころか完全アウトになるところだった・・・
ふぅ・・・と息をつけば、目の前にスっと影が落ちるのを感じて顔を上げる。