第2章 新しい生き方
ヤバい···ここってホントに、私にとってある意味、天国?!
加「で、主はその格好でどこに行くつもり?そんな格好してたら、無条件に襲われると思うけど?」
お、襲われるってなに?!
長「加州!主になんて事を!」
加「だって本当じゃん?前結びの帯だなんて、花魁位しか結わないでしょ。それに、着物の合わせも逆だし、それじゃ可愛くないよ」
うぅっ···可愛くないってハッキリ言われた···
そもそも自分が可愛いだとか思ってはないけど!
敢えて他の人にそう言われたら···ヘコむ。
長「あ、主?お気を確かに···」
ガックリと項垂れる私を見て、長谷部さんが駆け寄った。
加「ま、こういう事態なら俺がここに連れて来られた理由も分かったし、時間もないからサッサとやるよ」
スタスタと加州さんが部屋の中へと入って来て、私の帯に手を掛け···スルリと解く。
ひとたび帯を解かれてしまえば、あっという間に合わせは全開になって···えーっ?!
『ちょっ、あの!加州さん?!』
加「なに?···あー、大丈夫だから。俺は別に主の丸裸見たってなんとも思わないし。だから気にしないで?」
いや、するよ!!
『長谷部さん!助けて?!』
側に立つ長谷部さんに助けを求めても、長谷部さんもあれよあれよと言う間に私の着替えを進ませる加州さんに手伝っていて···やがて、私が自分でなんとかしようとした着方とはまるで違う、これぞ正装!という着付けが終わった。
っていうか···見られた···
初めて会う男の人に···見られた···
嫁入り前なのに···って、私、既に死んじゃってるけど。
長「主、よくお似合いですよ」
『はぁ···ありがとう、ごさいます···じゃあもう広間へ行きましょうか···』
下着姿を見られたショックと、なんかいろいろなショックで足取りが重くなる。
加「ちょっと、まだ終わってないよ?俺の本領発揮はここからでしょ」
ほら?とどこから取り出したのか、メイク道具の様なものをズラリと並べ出す加州さんはとても楽しそうに見えた。
加「せっかくなんだから、ちゃんと可愛くしなきゃね。はい、ここ座って?」
もうなるようになれ!な気持ちで座れと言われた鏡の前にゆっくりと腰を下ろす。
加「じゃ、まずこれね。それからこれとこれを合わせて···あ、目を閉じて?」