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拾った恋は、18禁

第4章 はじまりの音と雨の予感


「?」


「俺たちこの近くでロケしてたんだよ」
「え?」
「すごい人混みで、逃げるように入ったのがこのビルなの。確かにその時なぎに一目惚れしたのは紅。そのあと、紅になぎを紹介されて、俺も一目惚れした。華も飴も、紅じゃないよ。俺、だけだよ。これに飴入れっぱなしにしてたから、気付かないで落としちゃったのかも」


ヒラヒラヒラ、と見せてくれたのはこのビルの社員証で。
確かに裏には飴が見え隠れしてる。

「なんで?」

「内緒」


「……………っ!!」


なんで部外者が社員証なんて持ってんのよ。
大丈夫なの?
ここのセキュリティっ!!!



「ねぇなぎ」
「何」

甘さを含む声色に。
熱を孕む、視線。

「あのね」


湊の整った顔が近付いて、目の前に影が出来た。


ゆっくりと目を閉じた、瞬間に。





「ごめん俺、戻らなきゃ」
「………はっ?」

「このあとドラマの撮影なの。ごめんなぎ」


この上なく、半端ない羞恥心が一気に頭まで駆け巡った。


「何時になっても俺、必ず行くから!ねぇなぎ、待ってて。『続き』、しよう?」


あーもう。
無理。
顔が上げらんない。
『続き』なんて、知らない。


「ごめんなぎ、俺先行くねっ」





現実へと戻らなきゃいけないのもわかる。
わかる、けど。
ちょっと温度差激しすぎない?



ねぇ。




やっぱり、歳の差はけっこう考え方も温度も。
差があるのかもしれない。





無理だ。



さすがにこれは。


湊がいなくなった薄暗い資料室。
両手で顔を隠しながら、ズルズルと倒れこむしか出来ない。


ヤバイなぁ。


残りの時間。
どんな顔して仕事すればいいの。



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