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拾った恋は、18禁

第4章 はじまりの音と雨の予感


「あのコは絶対、凪を諦めないよ」






コトン、て。
梨花がテーブルへと置いた紙袋。

「?」

首を傾げて梨花を見れば。
彼女は苦笑しながら中身を取り出した。

「あんたの郵便受けにね、引っ掛かってた」


紙袋から梨花が取り出したのは。

「…………」

あの日。
湊がうちを出ていったあの日。
湊が持っていった、2つのビールのうちの、ひとつ。

「………っ」

「だから言ったでしょ、諦め悪そうじゃん」


缶ビールには、マジックペンではっきりと、湊の文字。


『やっぱりなぎが預かってて』
『飲むから』


「……もっとましな字かいてよ」


両手で握りしめて、それを包み込むように額へと寄せた。
知らずに溢れて止まないのは。
暖かいそれの正体を、あたし今ならはっきりと言える。



あたし。

湊が好きだ。



両目から溢れでる暖かい涙。
それの正体に気付いたのは、じめじめとした季節が続く雨の日。
憂鬱なはずの雨の音が、なんでかな、すごく心地よく感じたんだよ。



ねぇ湊。


あたし、湊に伝えたいこと、たくさん出来たよ。


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