第4章 はじまりの音と雨の予感
『なぎ?もう時間だよ?大丈夫?………って、なぎ、熱い!熱は?体温計どこ?』
『……頭痛い』
『薬は?薬、ある?』
『………リビングの白い棚、一番上にストックあるかも』
『わかった』
『起きれる?お粥食べれる?少し食べないと薬飲めないよ』
『……起きる』
『なぎ』
『………っ、湊っ?』
『人にうつすとね、風邪早く治るんだよ。俺が全部貰ってあげるから』
『いい、いい!薬、薬ちょーだい!』
『飲ませてあげる』
『湊、ほんと今、力でないからこーゆーのほんと無理っ』
『だから、早く楽になってよなぎ』
『……湊っ』
『………い、ってぇ!なぎ、それヤバイやつ!血、血出てるから!』
『充電器よりましでしょ』
『携帯も立派な凶器だよっ?』
『………39度』
『ね?すぐ下がったでしょ』
『バカ湊。あんたが熱出してどーすんのよ』
『俺はいーの。なぎが元気なら俺も嬉しい』
『………バカ湊』
湊。
湊。
「――――――湊っ!!」