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拾った恋は、18禁

第1章 はじまりの夜


「そんなに飢えてないから、大丈夫よ」
「………」



彼に向けていた視線をエントランスへと向ければ。
それ以上に彼は何も言ってこなかった。


「………」



コツコツコツとわざとらしく響かせた足音は、エントランスへと確かに向けられたもの。
だけど。
自動ドアをくぐる前に。
何故だかその足取りは、方向を変えた。


「………お姉さん、犬とか猫とか、ほっとけないタイプ?」

段ボールの前で止まったあたしを見上げるように。
彼はそう、やっぱり無表情で告げると。
よいしょ、と。
座っていた腰を上げたのだ。

途端に。


自分よりも大きな身長に、少しだけ後退。




「このマンション、動物飼えないのよ」
「うん」
「一晩だけだからね」
「うん」


相変わらずの無表情。
だけどなんでかな。
少しだけ、笑ったように見えたのは、気のせい?


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