第3章 いらない、朝
梨花が広げて見せた週刊誌。
おかげで一気に食欲減退。
ああ、そっか。
ダイエット中だし、ちょうどいいのか。
そんなどーでもいいことを考えちゃうくらいに、頭は冷静なのか、パニクってるのか。
どっちだろう。
「なぎおかえりー」
玄関を開けた瞬間、いつもながら脱兎のごとく抱きついてくる湊に預けた視線。
「何?」
「うん、開けた瞬間、いつも早いなぁって思って」
「なぎの足音なら、離れてたってわかるよ?」
犬なみの聴覚まで身につけたの?
前世はたぶんきっと、犬ね。
しっぽと耳が見えるもん。
「ねぇ湊」
「んー?」
「日中いつも何してるの?」
「海外ドラマ見てる」
「え」
「なぎ見てるやつ、あれ、面白いね」
「………仕事は?」
「してたら段ボール入ってないよ」
全く同意見です。
「今日は何見るの?なぎに追い付いたよ俺」
「そう」
「うん、なぎと見ようと思ってとっといたんだー」
えらい?
なんて、おっきな瞳をらんらんと輝かせて。
ほめてほめてと、瞳が訴える。
敢えてそれには応えずに。
携帯をテレビへとキャスト、した。