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拾った恋は、18禁

第2章 真っ昼間のにわか雨





「…………」

また、こんなとこで寝てる。
寝室の扉を遠慮がちに引けば。
扉の向こうに丸くなって眠る、湊の姿。
気付けばいつも。
彼はこーやって、冷たい硬い床の上で寝てる。


こんなとこで寝ても、疲れなんてとれないのに。










湊が来た2日目の朝、寝室のドアをいつもどーりに開けたら。

「いでっ」

なんて、凄まじく鈍い音と共にふってきたのは悲痛に唸る、湊の声。

「………何してんの、ここで」
「なぎが入れてくれないから、ここで寝てたんじゃん。」


いてぇ、なぎ鬼ー、なんて、涙をたくさん貯めた瞳で罵倒されたところで謝罪の気持ちなど沸くはずもなく。
それどころか生まれてくるのは怒りにも似た感情だ。

「ソファーでも使えば、邪魔」
「やだ、遠いもん」
「遠い?玄関?」
「なぎから」

躊躇なくいってのける真剣なその表情に一瞬だけ怯みそうになる、けど。

「こんなとこで寝られても部屋には入れないよ」

そんな言葉一つでなんて、ほだされたりしない。

「いいもん、俺、どこでも寝られるし」
「そーゆー問題じゃないから」
「なぎが寝室に入れてくれれば問題解決なのに」
「ないから!」



なんて押し問答すること数分。
朝の貴重な時間を無駄にすること数分。
そう、数分間も。
こんなとこで貴重な時間を潰したにも関わらず、彼は一向に譲る気はなく。
結局今に至るわけだ。

湊を起こさないようにそっと、寝室から湊ごと、飛び越えた。










「峰岸さん、最近残業しないですね」
「………そう?」
「今日も定時ですか?」
「ああ、うん」
「好きな人でも、出来ました?」
「は?」

弾かれたように彼女へと向けた視線にうつりこんだのは、それはもう、好奇心たっぷりのおっきなまあるい瞳。

「弟がね、来てるのよ」
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