第2章 真っ昼間のにわか雨
そう、こんなとこ。
なんでいつもいつも、人の心がわかるんだろう。
この人はなんで、こんなにも寄り添ってくれるんだろう。
まだまだ明るい真っ昼間。
真上に太陽がサンサンと輝いてるはずなのに。
何故だか視界はずっと曇り空。
なんでかな。
にわか雨でも、降ったかな。
「ねーなぎー」
「………ふふ」
「なぎ?」
やばい。
あんまり必死だから、笑えて来ちゃったよ。
あーもう、止まんない。
「なぎー?」
やだなぁ、もう。
カッコ悪。
「なぎ、帰ろー?」
「それなら、大賛成」
「やった、やっとなぎ、笑った」
あたしよりも幾分もあどけない顔して笑う彼。
確かにきれいな顔してる。
かわいい顔、してるのよね。
「なぎ?なに?どしたのー?」
首を傾げちゃうその姿でさえ、たぶん同年代の女の子に負けず劣らず、いやたぶんそれよりもはるかに、かわいい。
「……あの、なぎ?」
華奢なくせに、意外と筋肉もあるのよね。
腹筋なんて、見事な割れっぷり。
全身紫外線対策バッチリのあたしと違って、彼は水着のハーパンに白いパーカーを羽織っただけのラフな姿。
袖から見える腕も、ほどよく血管浮き出てるし。
「あのさ、なぎ」
「え」
「くすぐったいんだけど」
「え?………あ!」
やばい。
無意識。
「ごめん」
あたしってば、べたべたと。
これじゃただの痴女じゃん。
「なぎなら大歓迎なんだけど………」
「?」
「さすがに目立ってきたから」
「湊?」
「――――走れ、なぎ」
「え、え?」
ええ?