第9章 ○気付いた気持ち
ーーーーーーーーー
兵舎内の廊下を大股で進んでいくエルヴィン。
見た感じはいつも通りだが、いつものあの胡散臭さがねぇ。お陰で廊下ですれ違う兵士達から凝視されるザマだ。
そんなことを気にしている間にも、どんどん中庭に近づいていき、それにつれて兵士達の姿は見えなくなっていった。
中庭なんて普段なら殆ど人は来ねぇ。
だからこそ嫌な予感がするのだ。
隣のアランもクソが詰まったような顔で俺の隣を歩いてる。
その時だった。
微かに聞こえてくる男の喘ぎ声。
そして肌と肌がぶつかっているような断続的な肉音。
最悪の事態が起きた。
恐らく全員の耳に届いたのだろう。
俺たち三人は一気に足を速め、音の鳴る茂みの奥の方へ向かっていった。