第9章 ○気付いた気持ち
「アラン。君は今すぐにソフィアを医務室に連れて行ってやってくれ。」
「でも…!」
「君が今どんな想いを抱いているか、手に取るように分かるよ。
しかし、今はソフィアのケアが第一だ。それに、団長として新兵である君の手を汚させる訳にはいかないんだよ。
いいから行くんだ。」
声色は優しげだが、決して有無を言わせない口調でアランに命令する。
すると、アランは少し自分の感情を堪えるように拳を強く握りながら、分かりました…、とソフィアを運んで行った。
「…ここでは少し目立つな。場所を変えようか。ラルフ、取り敢えずお前はその汚いものをさっさと仕舞え。」
「はっ、は、い…!」
エルヴィンからはいつもの人当たりの良さそうな雰囲気は完全に消え失せ、二人の男達をまるで汚物を見るような目で見ている。
その視線には思わず俺も恐怖を覚えた。